デンタルダイヤモンド誌 1998年月7号掲載 私のストレス
リフレッシュ法
「図書館のススメ」
うっとしい梅雨も終わりに近づくと夏の遊びに心が踊る今日この頃です。雨の休日
などはゴルファーや釣り人はやきもきした気持ちでお過ごしのことでしょう。
そういう僕もやっぱり外で遊びたい坊やのひとりです。
「きみはほら、ジャズバンドやったりボートに乗ったり趣味がいっぱいあって、さぞ
かしストレスなんぞたまらんでしょう?」とかよく言われるのですが、そうでもない
んですね。
時々、歯科医師会のゴルフコンペに行くことがあるけれど、とつぜんスライス病が
始まったり、当日のスコアーが悪かったりすると急に機嫌が悪くなったり、無口になっ
たり、だれしもそういうところが無きにしもあらずですけれど、そういう人に限って
「ストレス解消はゴルフだね」なんてことをおっしゃるんですね。
僕の大好きなコンピュータだって大事な仕事の途中で突然フリーズしてしまった
り、保存を忘れて2時間もかけて作ったデータが一瞬にしてふっ飛んでしまったり、
楽しいことをやっているのにけっこうストレスってあるものですね。
そんなわけで僕にとって、趣味はリフレッシュにはなりますが、ストレス解消とは
いきません。
では、僕にとっての一番ストレスのないことは?と考えると、それは何といっても
読書でしょうか。
仕事の合間、お昼休みのひととき、あるいは天気のあまりよくない休日、僕は時々
近くの市立図書館に行きます。無料駐車場完備、程よく空調された図書室で静かに本
を読むのです。本を借りて来て家で読むこともありますが、とにかくただですから気
分もいい.
支払った市県民税を取り戻している感じがいいですね。新聞や雑誌を読むもよし、
写真集をパラパラやるのもよし、CDを借りてヘッドホーンで聞きながら時々居眠りな
んかもしちゃうのです。
雑誌や書物はその国の時代や文化のバロメーターとして親しまれています。しかし
ながら、それらの本が部屋を占領することがしばしばあります。いつかは役にたつ、
保存しておこうと思っても、特に雑誌などは残念ながら、一度見ればほとんど読み返
す事のないものばかりですね。また、その場限りの読み捨てのものも数多くあります。
紙をいや、大切な森林資源を無駄にしている気がしてならないのです。
そんなわけで僕は雑誌のたぐいは最近ほとんど買った事がありません。
また、図書館で偶然自分の患者さんに会ったりもします。
「あら、先生勉強ですか?」
「いやあ、ちょっと調べもので」
こんな会話でこの患者さんの持つ先生に対するイメージはきっとワンポイント上が
るでしょう。 近くの飲み屋で患者さんとばったり顔を合せ、酔いがスーット引いて
しまったご経験をお持ちの読者も多いのではないでしょうか?
図書館にはこんな付加価値まであるのです。どうですか?すばらしいでしょ!
読み物の魅力は想像力をはたらかせ、その世界に入りこむことができる、それは今
の言葉でいえば"バーチャルリアリティー"でしょうか?
つまり、作者の意図するところに自分の作り上げた仮想の世界を合致させることが
できるのです。 この醍醐味は作者との一期一会の出会いから来るのでしょうか。
こ
れは現在のコンピュータではとてもできません。
読書をして自分の頭の中でその情景を描き、保存し、時々ファイルオープンしては
自分のいろいろなフィルターをかけて見たり、他のファイルと合成したり.........
おっと、これは僕の大好きなコンピュータGCの世界に入ってしまったようです。
という訳で僕のストレス解消法は図書館行きということでした。
この本も図書館にあれば買わずにすんだのになあ..........あっ、編集部さん失礼
なことを書いてしまった!
1998年7月