デンタルダイヤモンド誌  1999年 2月 私のパソコン作法
        
「パソコン親子どんぶり」

 人生はひらめき!
 診療中に僕は突然アイデアが浮かんだり、上手な表現やそれから面白い冗談などにし
ばしば思いうかぶことがある。そんな時、おもむろに院長室に行き、レセコンと繋い
であるつけっぱなしのパソコンに向かいメモをする。パソコンの得意とするところは
情報の処理である。いつも情報を書き込める体勢を作っていることが大切だ。
 原稿を書くために紙とペンを用意したり、パソコンに向かったりしても、その時はな
かなかいい表現が思い付かなかったりする。僕の場合、紙のメモだとメモした紙がど
こかにいっちゃったり、せっかくメモが見つかっても、それが自分の字なのに何て書
いたか判らなかったりするんですね。
 いつでも”ひらめき”をしっかりとメモしたりデータベースに入れておくことが私の
パソコン作法の第一歩でしょうか。
 どこでもメモ
 学会に行ったときに知り合った人の名前は?あの時の電話番号は?新しい材料や、便
利な使い方、新聞広告に載っていた本の名前は?そんな記憶の狭間に落ちてしまった
情報もちゃんと手帳にメモしているあなたも、2年も前の手帳までは持って歩くこと
はないでしょう。
 一時、システム手帳というものが大変流行った時期がありました。地下鉄の路線図や
換算表、小さなメジャーとか、いろいろ便利なものが付いて人気がありました。でも、
これって結構な大きさと重さがあるものです。まして2、3年分の情報を持ち歩くこ
となんてとてもできませんでした。
 狭い個室に入った時の落ち付きと思考力、発想力は捨てがたいものがあります。、す
ぐにでも記録しておく必要があります。お気付きの方もおられるでしょうが、トイレ
は僕の書斎になってしまいました。これは僕だけではないかもしれませんけどね。
 どこでもメモしてデータベースにしておくことがいかに便利であるかは読者の皆さん
も経験があるのではないでしょうか。
 PDAのススメ
 最近の銀行の外交員はゲームボーイのような情報末端機を持ち歩いています。お客
の目の前で入力し入金伝票や、預かり票を印刷して銀行に帰ってからコンピューター
本体と接続します。また、ファミリーレストランでもウェートレスが末端機をポッケ
に忍ばせ注文を取りに来ます。私達もこのような利用法をしたらどんなにか仕事がは
かどることでしょう。
 職場でのつけっぱなしのパソコンと携帯用情報末端機PDAがあれば、あらゆるデータ
を書き込んでいつでもどこでも探すことができるのです。
 PDAではシャープのザウルスなどで代表されるいわゆるパームトップモデルがあり
ますが、軽くて小さいこと(大体500グラムが限度)、すぐに立ち上がるアプリケー
ション、途中でやめても自動的に保存終了し、電源を入れた時にすぐにそこからはじ
められるレジューム機能、バッテリーが少なくとも24時間は持つ事、あるいは乾電池
で供給出来るもの。英和、和英、国語辞書が使える事、などが必要条件でしょうか。
もちろん、スケジュールや電話帳、メモ帳の機能も当然必要です。最近では、デジタ
ルカメラを内蔵したものも出てきましたが、これも大変便利ですね。そして手持ちの
母艦コンピューターとの簡単な接続機能でしょう。
私の今使っているのは多少マニアックなものですがアメリカのヒューレットパッカー
ド社のHP200LXというパームトップコンピューターです。
 CPUはHornet (80186コンパチ) 16MHzという4世代も5世代も前のもの、世代交代の
速いコンピューターの中で3年以上も使って今だに予備機が欲しくなる程の便利なも
のです。PHSと繋げればファックスを送ったりE-メールのやり取りもできます。わず
か315グラムの本体でこのような事ができるのですからすばらしいですね。

 パソコンとファミコン
 このようにして記録した発想や思いつきはつぎはぎではありますが、パソコン本体
との接続でデータを並べかえたり整理したりしてりっぱなデータベースとなるのです。
退屈な会議、電車での移動中、事実、この文章は床屋さんで書いているのですが、所
かまわずいろいろと思い付くのですね。
 PDAはその人しか使わないのですから本当の意味のパーソナルコンピュータといえま
す。それではふつうのパソコンはと言えば、オフィスや家庭でいろんな人が使う訳で
すから、これはファミリーコンピュータ、ファミコンでしょうか?
 自宅や診療室のデスクトップコンピューターといつでもどこでも情報を利用できる
パーソナルなPDA, パームトップコンピューターは僕のからだの一部になりつつあり
ます。     1999年1月
(この記事を書き終わってすぐにSharp社製 ZAURUSに変えてしまった)